【新唐人2011年8月24日付ニュース】中国雲南省の東部で、金属のめっきに使われるクロムが大量に不法投棄されました。このため、中国第四の大河といわれる珠江の水源がクロムで汚染された恐れがあります。市民数千万人もの飲み水の安全にもかかわるため、高い関心を呼びました。不法投棄のあった周辺の村では、すでに37人が癌で亡くなったそうです。この有害物質の汚染について、中国における政府と庶民の新たな衝突の火種になるといわれています。
5000トンあまりに上るクロムの廃棄物が不法投棄された事件が中国メディアに報道されると、高い関心を呼びました。投棄された雲南省東部の南盤江は、珠江の水源に当たります。
不法投棄をした企業は、1989年からすでに、クロムをきちんと処理せずに屋外(おくがい)に放置。廃棄物は最高で29万トン近くに及んでいました。クロムが通常の資材と見分けがつきにくい点を利用し、企業は路上や山に放棄してきたそうです。
地元の雲南省・曲靖市政府は8月13日、企業の不法投棄によって、付近の農村の家畜77頭が死んだとようやく通達を出します。しかし、飲み水の安全には影響がなく、死亡者はいないと説明。広東省当局も、検査の結果、珠江の水に異常は見られないと発表しました。
しかし、中国のポータルサイト、網易の報道によると、この企業に最も近い興隆村では、毎年、6~7人が癌で亡くなっているそうです。「死の村」として一帯では有名です。
さらに2000年以来、興隆村では癌ですでに37人が死亡したとの報道もあります。
企業から数キロ圏外にある、ある診療所の職員が大紀元新聞に漏らしたところによると、ここ数年、腫瘍や結石の治療のため、地元から雲南省中心部に行く人が多く、そこで癌が発見されるそうです。
これについて、中国の環境問題に詳しい作家の鄭義さんは、有害物質を生産する工場を建設する際、中国では、庶民の意見を募ることはないと指摘しました。住民と企業の間で対話がもたれる欧米との決定的な違いだといいます。
環境問題に詳しい作家 鄭義さん:「中国では庶民の意見を募りません。政府の立場から言えば、実績しか考えていません。たとえば経済成長率、雇用問題。一方 負の影響 環境汚染など、健康・農業・林業への被害について、政府は通常考慮しません」
8月14日、中国東北部の大連市では、有害物質を生産する工場の移転を求め、群衆が抗議しました。
環境問題に詳しい作家 鄭義さん:「地元住民はなんら利益もなく、逆に被害を受けています。この積み重ねで社会の不満が募り、何かのきっかけで怒りが爆発します。中国では抗議は普通の現象です。肝心なのは共産党の制度が不条理なのです」
クロムの不法投棄が明らかになると、地元の汚染企業はクロムの輸送と処理を運送会社に委託することを決定。しかし運送会社の運転手は運送費の節約のため、1ヵ月半にわたり、運送の途中でクロムを不法投棄していました。事件が発覚すると、当局は運転手2人を逮捕したものの、運転手は事件の核心人物ではなく、身代わりに過ぎないといわれています。
雑誌“北京の春”編集長 胡平さん:「中国人はきちんと認識すべきです。自分の利益は自分で守るのです。最も有力な方法は群衆の抗議です。同時にネットツールも使うことより広範囲で人々が立ち上がります。結果が出れば、自信も強まります」
今回の雲南省で起きたクロム不法投棄事件は海外メディアも注目。フランス国営系のラジオ局は有害物質の汚染について、これは単に民衆と企業の間のもめごとにとどまらず、企業とつながりの深い政府と民衆が衝突する新たな分野となったと分析しました。
新唐人テレビがお伝えしました。
-【禁闻】滇铬渣事件-揭大陆化学污染面纱.html